秀策流は7手目までの布石戦術で、当時は本因坊秀策が好成績を残したことから定着した名称となった。「碁盤の広さが変わらぬ限り、このコスミが悪手とされることはあるまい」と秀策が述べており、現代でも「秀策のコスミ」は打たれ続けている。
本因坊秀策
1829年~1862年の棋士。14世本因坊秀策で本因坊丈和に入門。正確な形成判断で次々に強敵を撃破。御城碁で19連勝の偉業を達成した。特に、先番では「秀策流」と呼ばれる布石で無双しました。(こちら参照)
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冷静な強襲回避
【局面図:△井上因碩―本因坊秀策】
黒1以下と強引に右辺の白陣を裂いた局面。険しい戦況に思える状況で、秀策は冷静な打ち回しで攻めをかわします。
正解図(華麗な石運び)
白1と出るのが好手。黒2と取らざるを得ず、白3以下で右下と右辺を支えていきます。黒6で激しい競り合いが続きますが――、
白7から13と右辺の黒に迫りながら補強します。黒14から16の手入れは省けず、白17以下と厚い形を築きながら、AやBの好点を見て白有望な局面です。
参考図1(受けられない理由)
黒2と受けられた場合、白3以下でコウにならず、右辺の連絡を図れます。続いて、黒Aは白Bで黒ツブレです。
参考図2(手厚い収束)
黒1とコウを解消するなら、白2以下と右下の白に働きかけながら、右下の白を補強して白有利な戦いに持ち込めます。