7月17日に第7回扇興杯女流最強戦の決勝が、滋賀県東近江市の「迎賓庵あけくれ」で行われた。初タイトルを懸けた一戦は、牛栄子四段が粘り強い打ち回しを見せ、仲邑菫二段に白番2目半勝ちを収めた。
黒番の仲邑菫二段は中盤で優勢を確立するも、徐々に追い詰められていきヨセ勝負へ持ち込まれる。最終的に逆転を許す局面となったのは205手目のハサミツケ。牛四段は一瞬の隙を突き、その後も僅かなリードを守り切り、薄氷の初優勝を決めた。
早期決着の強手
局面図1(コウ争いの優先)
黒1以下は右上のコウ争いを続ける相場の進行に見えるも、黒は勝勢になる決め手がありました。ただ、実戦進行も黒良しで、仲邑二段は手堅い収束を選んだようです。
参考図1(攻め合いの決め手)
黒1の切りが決め手。白2から6と左辺の黒は3手しかありませんが、黒7で攻め合いは黒取り番のコウに収束するため、黒勝ちコースです。
一瞬の逆転劇
局面図2(踏み込み不足)
黒1のハサミツケが敗着。白2以下でAの利きを横目に左辺を削られるのが痛いところ。仲邑二段も「終盤に問題があった」と局後に感想を述べていた。
参考図2(切りの決め手)
黒1が成立していた好手。白2には、黒3以下でAとBを見て白が収拾付かない形。気づきづらい踏み込みで、秒読みの中で発見するのは容易ではありません。