本因坊道策は全局的な調和に注目される一方で、局地戦での力強さも魅力の1つ。中盤で圧巻の石運びで戦いの主導権を奪う様は、現代でも学ぶべき点があります。本局はそんな一面が現れた瞬間を紹介します。
本因坊道策
1645年~1702年の棋士。四世本因坊で先番負けなしの圧倒的な記録を残した。道策は「棋聖」と呼ばれ、史上最強の棋士に名を挙げるものが多い。囲碁AI・AlphaGoに通じる点が多くあり、現代でも評価が高い棋士の一人。(こちら参照)
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敵陣破壊の中盤戦術
【局面図:△算哲―本因坊道策】
上辺の戦いが一段落した後、左下の黒陣にどう手をつけるかが焦点。道策は左下の黒陣を、白地に変える強力な石運びを見せます。
正解図(攻守逆転の3手)
白1と黒2の交換で左辺の黒を重くした後、白3と左辺を割るのが好手順。左下と左辺の黒を見て、白有利な戦いになります。
黒4と左下を守るなら、白5以下とポン抜きを許す代わりに、左辺の黒3子を飲み込んで白の実利が優るワカレです。
参考図(白有利な戦い)
黒1と左辺を守られた場合、白2以下と補強しながら、左下の黒に迫って白有利な戦いへ導けます。