1831年に本因坊丈和は策謀により名人御所に就き、赤星因徹の挑戦も退いて井上幻庵因碩の野望を打ち破ります。ただし、林元実の八段昇段の内訳を破ったことへの訴えなどにより、1839年に名人御所を返上し引退。家督は丈策に譲る流れとなりました。
本因坊丈和
1787年~1847年の棋士。12世本因坊丈和で本因坊元丈門下。力強い棋風で大石を仕留める棋譜が多く残されている。本因坊道策が「前聖」、丈和が「後聖」と評価されており、歴代屈指の名手である。(こちら参照)
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一流の踏み込み
【局面図:△葛野丈和―安井仙知】
黒1と左上を守り、白2と右辺の進出を止めて一段落した局面。本因坊丈和は厳しい踏み込みで戦線を広げていきます。
正解図(ツケの強手)
黒1のツケが鋭い踏み込みで本局は打ち掛け。白Aは黒Bで左下の白の根拠を奪いながら、下辺の黒陣を広げて黒十分。
参考図1(厳しい狙い)
白1と飲み込むのは、黒2から4と分断するのが狙い。AとBが見合いで白収拾つかない格好です。
参考図2(手厚い収束)
以上より、白1から5と連絡せざるを得ず、黒6以下と中央を厚くします。下辺の白陣を削れた戦果も大きく、黒悪くない形勢です。